名刺作りの時のお話。
少し前、去年のまだ暑い頃に、なくなった名刺を新しく作り直した。
最初に作って頂いた名刺は人生で初めて作る名刺という事もあって、紙、字体、位置、入れる文章まで、端から端までかなりの気合が入っていた。
こだわりが強すぎて自分でも邪魔臭いお客だったと思う(笑)
お店探しからお願いしに行くまで、笑ってしまう様な思い出が沢山ある、そんな名刺だった。
今回の名刺は違う所でお願いしたんだけど、今回もすんなりとはいかなかった。
1回目はお店の前を通り過ぎるだけしかできなかった。
2回目はお店の中に入ってこのお店で作って下さる名刺についてお話をして頂いたんだけど、話を聞いている内にここでお願いする自分の気持ちが中途半端で、ここでお願いする覚悟ができていないという事に気が付いて、お店を出た。
覚悟が定まって、次に名刺を作る時は絶対ここにお願いすると心に決めて(笑)。
3回目に伺った時、「 名刺をお願いしに来ました 」 と言った。
店主の花恵さんは数か月前に来た自分の事を覚えてて下さっていた。
お庭の話や自分の職業に対する思い、お互いの身の上話など色々な話をさせて頂いた。
お店を出て時計を見ると、なんと2時間以上も経っていた!
こんなに遅くなるとは思っていなかったので、車で待たされていたカミさんの所へ戻るとかなり機嫌が悪かった(笑)。連絡もなしに2時間も待たされたらそら当たり前か。
載せる情報やイメージを伝え、あとはデザインして頂く。
最終のデザインの確認をしてから制作を始めてもらい、10日程してから出来上がりの連絡を頂いた。
出来上がった名刺を見た時は涙が出そうな程嬉しかった。
紙から、使用するインクから、活版から、全て自分の名刺の為に用意される。
花恵さんがその全てを組み合わせる。
そして世界に一つだけの、" 自分だけの " 名刺ができあがる。
こういう部分は、自分の仕事と似ているかも知れない。
名刺一つをとっても多様な名刺が普及している今、それらの中でも自分が作って頂いた名刺は、金額で言えば安くない金額の部類に入ると思う。
その金額が高いと感じる人にとっては高いだろうし、価値があると感じる人にとっては価値がある。大事なのはここ。表記としての金額が高いか安いかではなく、自分にとってその物にその金額を払う価値があるのかないのか。価値観だけの問題。
骨董が好きな、尊敬する庭師が言っていた。
先日、ずっと欲しがっていた品が出てきたそう。片手に乗る位の大きさの品で、金額は40万円だとか。探していた金額より高いけど欲しいっ!値切るにしたって、何を根拠に値切るの?その根拠がないでしょ!?
上手く言い繋げる事ができないけど、こういう所もまんざら離れていないと思う。
自分の仕事と似ている所がある。
第一印象として店主に惹かれたのと、見せて頂いた名刺が圧倒的に美しかった。
自分もこうでありたい。
明日も剪定のお仕事。
今日みたいに雨が降らなければいいなー。