名刺に対する心構え。
今日は仕事、、、ではなく、少し前から気になっていた、
残り少なくなった名刺を増版ではなく、新たに作り直そうと思って出かけた。
いま持っている名刺は、自分でお仕事を始めた時に合わせて作って頂いた物。
最初の名刺はいわゆる名刺屋さんではなく、細かい事も聞いて下さる
ご夫婦でなさっている町の小さな活版印刷屋さん、にお願いした。
アナログな自分は、名刺の実物大のサンプルを手書きで作って、それを元に
名刺を作って下さる方を探していた。作って下さる方のお顔を見て話をして
直接お願いしたかったのでネットやメールで発注、という形で頼むのは嫌だった。
なので、アナログな方法でもお願いできそうな方を探して、辿り着いたのがそのお店。
寒い中、なぜか原付で遠く離れたそのお店まで向かっている途中に
雨が降り出し、それがやがて霙に変わり、着いた時には中までボトボトになった、
忘れもしない2月のあの日。
とてもいい名刺を作って頂いて、多くの方との素晴らしい出会いがあったのだが
ただ増版するのではなく、自分でお仕事を始めさせて頂いてから一年が経ち、
色々と思う所ができたので、新たに作り直そうと思った。
名刺屋さんや印刷会社というお店とは、また違う角度から作りたかったので
前々から気になっているお店があったのでそのお店に伺った。
オーナーの方のお話を伺っていると、紙質や使われるインクの特性、
活版の種類や年代、その形の活版がどの国の物なのか、など
使われる全ての素材の情報量と工程を含めた全ての最初から最後まで
自分の想像を超えたお話だったし、名刺にそこまで表現できるのか、と知った。
このお店に入る前の心意気は一体何だったのか?
名刺というか、活版印刷に対する自分の余りの無知さと知識の乏しさに
途中で恥ずかしくなった。
価格もそれ相応で、決して高い過ぎる訳ではないのだが、初めて知った名刺の
世界感の全てにただただ圧倒されてしまって、話を聞くだけで終わってしまった。
でも、自分が名刺で表現したい事のすべてが此処にはあった。
きっとまたこのお店に来ると思う。
こんな世界があっただなんて、本当にとても勉強になった。