忘れられない苦い経験。

宇治市内で剪定と除草のお仕事。

 

 

 

今年からのお客様。

つい先日、自分が近くで剪定作業をしている様子を見て、お声を掛けて下さったのが

ご縁でお仕事をさせて頂く事に繋がった。

 

有り難い。

 

このお宅の庭木は全体的に元気がなく少し弱って見える。

お客さんもそれが気になって心配なさっている様子だった。

 

少し前からの樹木と庭の様子などの話をお聞きして、今の樹木の様子について

自分の見た感想と考えを話させて頂いた。

 

 

 

 

 

多くの場合、ご希望の大きさや仕上がりの雰囲気だけでなく

お客さんとできるだけ色々なお話をする事を心掛けている。

 

我々は少しでも相手の方を理解をする努力が必要だと思っている。

 

 

庭にある木はただの木にあらず。

全てのヒントはお客様との会話にあると思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、まだ自分が勤めていた時の苦い経験が大きく影響しているのだと思う。

 

 

年末に、大きな松のあるお宅に剪定に行った時の話。

門被りの大きな黒松は社長達が登っていたので、自分は裏庭で作業していた。

キンモクセイや馬酔木、ドウダンツツジ、など他にも色々植わってた。

その中で、建物寄りに袖壁の様な形でラティスの様なものが1枚あって、

そこに枯れたツルが巻き付いていた。

剪定と同時にラティスに巻き付いたツルも綺麗に取り除いた。

 

休憩時間、皆で休憩している所に女将さんがいらして、

「テッセンを切ったのは誰や?」とおっしゃった。

 

その時の自分はテッセンが何なのかをまだ知らなかった。

なのでその女将さんの言葉でも、よく分からなかった。

女将さんに続いてみんなでその場所に見に行った。

 

 

 

 

「 ここにあったはずのテッセンがなくなっている。誰が切ったんや?」

 

現場の空気が一気に緊張する。

 

あ、ラティスに巻き付いていたツルだ。。。。

 

 

 

 

 

 

「自分が切りました。」

 

 

 

 「このテッセンはなぁ、おばあさんがまだ生きたはった時に大切にしたはった

 のを親戚から分けて貰ってきたんや」

 

 

「....」   

 

もはや金メダルを取った時の北島康介である。

 

 

 

 

 

「あんたも植木屋さんならもっと勉強しなはれやっっ!!」

と、物っ凄い剣幕で女将さんからお叱りを受けた。

 

 

 

 

 

 

 当時の先輩に教えて貰ったのだが、幸い、春になったら新芽がでてきたそうです。

 

よかったーーーー。

 

 

 

 

 

 

でもそれ以降、このお宅は自分は出入り禁止となった。

 

 

 

 

 

この言葉、この場面が今でも頭から離れない。

書いてる今でも動悸がしてくる。

 

 

 

 

 

 

庭にある木はただの木にあらず。なのだ。

 

ずっとずっと見てきた庭木には、そのご家族にしか分からない想いがある。

 

 愛情がある。

 

 

 

 

 

 

 

とりあえずは樹木が弱る要因と考えられる事を排除して、

「庭木達の樹勢が回復できる環境を作りましょう」 

っていう感じでお庭を管理させて頂く事になった。

なので剪定というよりも殺菌を定期的にしたり消毒をしたりっていう作業が

今年は メインになりそう。

 

 

うちのハナミズキが咲かない、とおっしゃる方は結構多い。

 

ここのお宅にもあるハナミズキは、今まで色々な困難があったと話されていた。

この子はそれを乗り越えてきたから何とかしてあげたい。。。

 

 

 お客様の切なる思いがここにある。

 

 

 

 

庭にある木はただの木にあらず、なのだ。