槙の木に思う事。

今日は、去年の年末?くらいに、

「 今の時期に伺います! 」

と約束したお客さんの所へ剪定のお仕事。

 

なぜ今の時期なのかというと、お家のシンボルツリーに桃の木がある。

毎年桜の花が終わる頃位に見頃を迎える、とお聞きしたので、

それではお花見を楽しまれてから伺います、と、この時期になった。

 

シマトネリコとモミジと桃の木と槙。 

モミジ以外はどの木もそれなりに大きい。

少し離れた場所にあるシマトネリコの剪定から始めた。

少ししてから、「 え? これって早く終わるんじゃないの?? 」と感じ始めた。

 

金田くんの悪い癖。

なんでいつもそう思うかな。どうしてなのか、いつもすぐに終わると思ってしまう。

その逆に働いた事は今までない。

なので、無意識に自分を追い詰めてしまう癖がある。

 

Ḿ ?

いやいやいや。

そういう事じゃなくって。

 

でも去年見積もりに伺った時は正しく見積もりをさせて頂いたので、無問題。

大きな、というか、枝数の多い槙だったのでかなり時間がかかった。

お客さんのリクエストであれば話は別だけど、

今までの自分だと、槙の様な針葉樹を刈り込むなんてあり得ないと思っていた。

けど、今日の槙は鋏で透かすのがいいのか刈り込むのがいいのか、とても悩んだ。

 

結局は鋏で透かしたんだけど、その最中にも脚立から降りては見ながら、どうしようかと悩んだ。

最後まで悩みながら剪定した。

お客さんには申し訳ないが、なんだかモヤっとした槙に仕上がった気がする。

ずっと昔に聞いた「 迷って造った庭は迷った庭になる 」を思い出した。

 

確かにそうかも知れないけど、今日の槙は違う。

自分はベストを尽くした。

ただ、今まで違う人が手を入れていた庭木を自分の感じる様に作り替える時は

こういうものだ。たった一回の鋏で作り替える事はできない。

要らない枝を抜いて新たに芽吹かせて、の繰り返しで、せめて3年はかかるだろう。

その最初の年なので、迷っているのではなく、作り替えている途中。

 

3年後にはなんとかいい形にしたい!

と思いながら初めてのお客さんの庭木を剪定させて頂いているのを思い出した。

 

でも、来年この槙をまた切らせて頂けるのなら、鋏で透かすのか、玉散らしにするのか槙の前に立ってもう一度考えると思う。

 

もちろん庭木の個性や樹形を生かして剪定するべきだし、

槙は槙らしく、梅は梅らしく、赤松は赤松らしく。

この考えに変わりはない。

 

ただ、これはこうしなければならない、という決まりはない。

建物や背景も含めた全体のバランス、というのも考えて剪定の方法も選ぶべきだと。

 

剪定もまた石組みや作庭と同じで、とらわれ過ぎてはいけない。

 

つくづく奥の深い仕事だなー。